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今回は、Warren Zevonの9枚目のアルバム『Transverse City』を聴きました。
Virgin Recordsに移籍して2枚目のアルバムです。
本作は、サイバーパンクのSF作家William Gibsonに触発されて制作したコンセプト・アルバムです。
煌びやかで大胆なシンセ・サウンドの冒頭アルバムタイトル曲は、近未来を象徴させる楽曲ですが、伝統的な中国音楽のようなどことなく東洋っぽい音階の楽曲です。
まだインターネットなどが一般的ではない頃の作品ですが、IT分野でのアジア諸国の台頭を予感していたのでしょうか?
リードギターはGrateful DeadのJerry Garciaが担当しています。
続く「Run Straight Down」は、無機質なバックコーラスがデジタル感を連想させる曲ですが、Pink FloydのDavid Gilmourのリードギター、楽曲の雰囲気がシリアスな感じを演出しています。
この曲のバックコーラスもお経のようで東洋感を醸し出しています。
3曲目の「The Long Arm of the Law」は、前の2曲ほどSF感はなく、硬派なロック色の強い楽曲。
Zevon自らがギターを弾き、Chick Coreaが端正なピアノを聴かせてくれます。
J. D. Southerがハーモニーに参加した4曲目「Turbulence」は、フォークロック調の曲。
もちろんこの曲もデジタル感強めです。
5曲目「They Moved the Moon」もJerry Garciaがギターで参加していますが、この曲はデジタルな仏教音楽のような楽曲です。
6曲目「Splendid Isolation」は、Zevonがハーモニカを吹き、Tom Petty and theHeartbreakersのMike Campbellがギターで参加したフォークロック調の曲。
Neil Youngもハーモニーで参加しています。
7曲目「Networking」は、Zevonのキーボードをフィーチャーしたやはりフォークロック調の優しい曲。
Waddy Wachtelがギターで参加しています。
「Splendid Isolation」と「Networking」の2曲は、アルバム中で一番キラキラとした80年代とは対照的な70年代的曲風かな。
8曲目「Gridlock」は、Neil Youngがリード・ギターで参加したタフなへヴィ・ロック。
Jefferson AirplaneのJorma Kaukonenもアコースティックギターで参加しているのですが、鬼気迫るYoungのギターの存在感が強く、Jormaの存在感は薄いですね…。
David Lindleyがラップ・スティール・ギターでスライドギターのように聴かせる9曲目「Down in the Mall」は、泥臭いロック調の曲。
アルバム最後を飾る「Nobody's in Love This Year」は、2曲続いたロック調の曲の後、ホッとさせるバラード・ナンバー。
優しいZevonの歌い口も特徴的です。でも、歌詞は曲調とは対照的に凄い事を歌っているみたい(苦笑)。
参加アーティストは、上記の他にJefferson AirplaneのJack Casady、Little FeatのRichie Haywardと、とにかく豪華です。
私が今回聴いた日本盤は、歌詞の日本語訳がなくアルバム収録曲が何を歌っているのか分からないのですが、曲を聴けばコンセプト調なのは分かると思います。
是非日本語訳が知りたい!
豪華参加ミュージシャンに、意欲的な作品にも関わらず、商業的に失敗しまいし、ZevonはVirginから契約を切られてしまいます。
(収録曲)
1.Transverse City
2.Run Straight Down
3.The Long Arm of the Law
4.Turbulence
5.They Moved the Moon
6.Splendid Isolation
7.Networking
8.Gridlock
9.Down in the Mall
10.Nobody's in Love This Year
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雪が降ったかと思えば、最高気温が22度になったり、よく分からない2月だな…。
今回は、Moby Grapeのデヴュー・アルバム『Moby Grape』を聴きました。
元Jefferson AirplaneのSkip Spenceを中心に1966年に結成された同バンドは、同時代に活動していたBuffalo Springfieldともに、日本のはっぴいえんどに影響を与えたバンドとして知られています。
冒頭「Hey Grandma」は、コーラスワークもご機嫌なポップナンバー。
ポップとはいえ、随所に切り込むギターが気持ちいいです。
続く「Mr. Blues」は、熱いリード・ヴォーカルが特徴的なソウルフルなナンバー。
この後の曲でも登場しますが、当バンドはこういうソウル調のホットな曲が多いのも注目ポイントです。
3曲目「Fall on You」は、美しいバックコーラスとともにドライヴする疾走感のある曲です。
4曲目の「8:05」は、アコースティック・ギターをフィーチャーした、コーラスワークが美しいフォーキーな曲。
2曲目の「Mr. Blues」とは対照的なナンバーです。
5曲目「Come in the Morning」は、「Mr. Blues」同様リード・ヴォーカルはソウルフルですが、バックコーラスはソフトロック調という面白い曲です。
6曲目は、シタールのイントロから始まるサイケ調の「Omaha」。
曲名からはカントリー調を想像してしまいますが、曲の中身は全く関係ありません(笑)。
カントリー調の7曲目「Naked, If I Want To」の後は、美しいソフトロック調のバラード・ナンバーである8曲目「Someday」。
途中熱いヴォーカルが入る部分はご愛敬ですね。
9曲目は、ガチなカントリー・ロック・ナンバー「Ain't No Use」。
こういう曲もできるところも器用ですね。
シリアスな曲調とギター・プレイ、そしてヴォーカルが特徴的な10曲目「Sitting by the Window」。
アルバム中で一番好きなナンバーです。
11曲目「Changes」、12曲目「Lazy Me」は、ともにやはりソウルフルなナンバー。
黒人ミュージシャンばりの熱い感じがたまらないです。
アルバム最後の「Indifference」は、R&B調のギターに、ポップなコーラスワーク、そして熱くソウルフルなリード・ヴォーカルと、バンドを丸ごと体現したかのような曲です。
バンドはその後トラブルに見舞われ、一般的には地味な存在のバンドですが、様々なミュージシャンに影響を与える伝説のバンドです。
(収録曲)
1.Hey Grandma
2.Mr. Blues
3.Fall on You
4.8:05
5.Come in the Morning
6.Omaha
7.Naked, If I Want To
8.Someday
9.Ain't No Use
10.Sitting by the Window
11.Changes
12.Lazy Me
13.Indifference
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大雪が降った週に、夏のアルバムはないどだろうという感じですが、安部恭弘が1986年7月2日に発表したアルバムです。
夏のアルバムですが、冒頭アルバムタイトル曲「TUNE BOX」は、絶妙なコーラスが映えるアカペラ調の曲なので、冬にも似合うでしょ!?と強引に持って行きます。
続く「テネシー・ワルツ」は、アルバム中で一番好きな曲。
タイトなバンド・サウンドのポップ・チューンで、輝かしき1980年代を象徴するようなAOR調の楽曲です。
3曲目の「いい人に逢えるさ」は、1960年代のアメリカン・ポップスを連想させるような明るい曲です。ウェストコースト・サウンドのようなコーラスも素敵です。
4曲目の「ナイト・フィッシュ」は、ソウルフルな女性コーラスをバックに、シンセサウンドを大きくフィーチャーしたシティ・ポップ。
そのタイトル通り夜に相応しい大人の曲ですね。
楠瀬誠志郎がコーラスに参加しているなとハッキリ分かる爽やかなポップ・チューン「一瞬の夏」の後は、やはりアルバムタイトル曲の「tune box」。
冒頭曲が大文字に対し、この曲は小文字。
コンセプト・アルバムのような印象を与えます。
7曲目「時の水底」は、シュールなバラード。
ちょっと暗めの曲ですが、アルバムにスパイスを加えています。
8曲目はハーモニーワークが映える「彼女にドライなマティーニを」。
この曲もウェストコースト・サウンドっぽいですね。爽やかでファルセットヴォイスもいい味を出しています。
最後の「SHO-NEN」は、バラード調のナンバーで、そのリズム感やギターのカッティングが楽曲に駆け抜けるようなイメージを与えています。
上記の楠瀬誠志郎の他に、今剛、清水信之、青山純、村上"ポンタ"秀一、井上鑑など豪華ミュージシャンがバックアップした作品です。
(収録曲)
1.TUNE BOX
2.テネシー・ワルツ
3.いい人に逢えるさ
4.ナイト・フィッシュ
5.一瞬の夏
6.tune box
7.時の水底
8.彼女にドライなマティーニを
9.空蝉のステア
10.SHO-NEN
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今回は、Raspberriesの3枚目『Side 3』を聴きました。
Raspberriesの事は、バンド名は知っていましたが、曲やアルバムをちゃんと聴くのは初めてです。
メンバーのEric Carmenは、ソロとしても活躍していますね。
冒頭曲「Tonight」はシングルとしても発売された曲。
コーラスワークが絶妙で、ポップな曲ですが、ハードで力強いR&Rです。
アルバム滑り出しとしてはいい曲です。
続く「Last Dance」は、アコースティック調のナンバーで、彼等の絶妙なコーラスワークが映える曲です。
途中転調して、フィドルも加わるナンバーでカントリー・ロック調でもあります。
バンドはオハイオ州出身なので、どちらかというと東寄りの州の出身ですが、当時の流れからウェスト・コースト・サウンドでも意識したのでしょうか。
3曲目の「Making It Easy」は、「Tonight」同様ハードで力強いR&R。
この曲のバックコーラスもウェスト・コースト・サウンドっぽいですね。
4曲目の「On the Beach」は、やはり力強い曲ですがメロウなバラード・ナンバー。
途中の転調と、海鳥などのSEが特徴的です。
ハード・ブギー調の5曲目「Hard to Get Over a Heartbreak」の後は、ブルージーな「I'm a Rocker」。
この曲もハードで威勢がよくていいですね。
7曲目「Should I Wait」は、「Last Dance」同様アコースティック調の曲。
こちらは転調こそしないものの、やはりカントリー・ロック調の曲で、こういう曲も上手いなあ。
8曲目「Ecstasy」は、ヘヴィでシャウトもする出だしながら、ポップなR&Rナンバー。
バンドの真骨頂的な曲ですね。
続く9曲目「Money Down」がブルージーでダルな感じの曲なので、「Ecstasy」を最後に持ってきた方がアルバムを締めくくる曲として良かったような気もします。
本作は変形ジャケットも面白く、貴重ですね。
初めて聴いたRaspberriesですが、今でこそパワーポップとして評価が高いものの、バンド内での諸事情によりたった4枚で解散してしまっています。
しかし、曲作りのうまさや、重くて手数の多いドラムに細やかに織り込まれたギター・サウンド。そしてコーラスワークの上手さなど、バンドとしての実力は相当高いバンドだなと感じました。
(収録曲)
1.Tonight
2.Last Dance
3.Making It Easy
4.On the Beach
5.Hard to Get Over a Heartbreak
6.I'm a Rocker
7.Should I Wait
8.Ecstasy
9.Money Down
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1年の始まりの元旦を襲った大地震。
被災された方々にはお見舞い申し上げます。
新年最初の通勤BGMですが、私の仕事始めは5日で、1日出勤しただけですぐ3連休だったので、仕事始めは昇り龍をジャケットにあしらったAsiaのファースト・アルバムを聴きました。
ただ、このアルバムは以前取り上げた事がありますので、2024年最初のアルバムは、9日の週に聴いたDeep Purpleの『Slaves and Masters』となりました。
1984年に、黄金の第2期のメンバーで再結成を果たしたDeep Purpleは、同年『Perfect Strangers』を発表します。
1987年には『The House of Blue Light』を発表し、1988年にはライヴアルバム『Nobody's Perfect』を発表しています。
しかし、黄金期と同じく、ギターのRitchie BlackmoreとヴォーカルのIan Gillanの関係が悪化し、Gillanは1989年5月に解雇されます。
バンドはGillanの後任に、紆余曲折の上、Rainbowの3代目ヴォーカリストであったJoe Lynn Turnerを迎え、1990年に本作『Slaves and Masters』を発表します。
Joeがメンバーに加わり、元Rainbowのメンバーが3人いるという事で、PurpleのRainbow化が懸念されたのですが…。
冒頭「King of Dreams」は、シングルにもなり、イギリスで70位にランクインした曲。
キャッチーでストレートなロック・ナンバーですが、アルバム冒頭を飾る曲としてはいいけど、シングルにするほどのキラーチューンかな!?という感じ。
続く「The Cut Runs Deep」は、イントロがハープシコードようなサウンドの楽曲。
中世バロック調を連想させるスタートに、おおっと期待させる楽曲で、RitchieのギターもJon Lordのオルガンもちょっと気合が入っています。
3曲目の「Fire in the Basement」は、ブギー調の曲。
「Lazy」など往年のPurpleを彷彿させる曲で、RitchieもJonもさらに演奏に気合が入っています。
4曲目「Truth Hurts」は、哀愁感漂う楽曲。
Joeの魂のヴォーカルが映えます。
ポップな5曲目「Breakfast in Bed」の後は、6曲目「Love Conquers All」。
メロウなバラード。こういう曲ではやはりJoeは上手いですね。
Richieのスライドギターが哀愁さを一層引き立てています。
無難にまとめられたアルバムで、ものすごく良いアルバムというわけではありませんが、ひどいアルバムというわけではなく、平均的なアルバムだと思います。
ただ、JoeというPurple関係では見慣れた顔とはいえ、バンドの顔でもあるヴォーカルが代わったのに、あまり新味のないアルバムで、そういった意味では面白みに欠けるかなと思います。
結局、Joeは、他のメンバーとの関係が悪化し、本作1枚限りで脱退してしまいます。
(収録曲)
1.King of Dreams
2.The Cut Runs Deep
3.Fire in the Basement
4.Truth Hurts
5.Breakfast in Bed
6.Love Conquers All
7.Fortuneteller
8.Too Much Is Not Enough
9.Wicked Ways
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今年も残すところあと数時間となりました。
歳末の雰囲気というものが年々薄れていき、さらに冬らしくない温かさがさらに雰囲気壊しに拍車をかけていて、歳末の雰囲気好きの人間としては残念でありません。
今年も色々な出来事がありました。
昨年からのウクライナ戦争も終結が見えず、さらに中東情勢の不安もあり、世界情勢が見通せなくなっています。いまだに尊い命が数多く失われている事に心が痛みます。
とかく経済や我々の生活も、世界情勢に左右されがちなので、早い安定が訪れて欲しいものです。
さて、2023年最後はRita Coolidgeの6枚目のアルバム『Anytime...Anywhere』を聴きました。
以前から会社で有線が流れている事は書いていますが、夕方はAORが流れていて、その中で気になっていたのが、Ritaが歌う「We're All Alone」。
言うまでもなく、この曲はBoz Scaggsの代表曲ですが、Ritaのカヴァー・ヴァージョンが、ビルボード7位を記録する一番のヒットだったのですね。
Rita Coolidgeというと、Delaney & Bonnieへ参加し、ソロでもデルタレディと評されるほど初期の活動はスワンプ・ミュージックでの評価が高いアーティストですが、時代が進むに連れて、AOR指向が進んでいくようです。
今回聴いた『Anytime...Anywhere』は、そんなスワンプ指向とAOR指向の過渡期のようなアルバムです。
アルバム冒頭曲「(Your Love Has Lifted Me) Higher and Higher」は、Jackie Wilsonのカヴァー曲。
ビルボードチャートでは2位と、上記の「We're All Alone」を上回るヒットを放っています。
オリジナルと比べるとあっさりとしたR&B調の曲です。
続く「The Way You Do the Things You Do」は、The Temptationsのカヴァー。
こちらは、Jerry McGeeのスライドギターをフィーチャーした、泥臭いスワンプ・ロック調の曲に仕上げられています。
3曲目は、私が気になっていた「We're All Alone」。
社内で流れていた時は気付かなかったのですが、シンセがフィーチャーされていたり、Ritaのヴォーカルもエコーというかエフェクトっぽい感じが施されていて、社内で聴くほど感動しなかったりします(苦笑)。
ただ、オリジナルのBozは感動の名唱ですが、Ritaのヴァージョンはそのハスキー・ヴォイスとあっさりした歌い口が意外に良かったりします。
4曲目「I Feel the Burden (Being Lifted Off My Shoulders)」は、テキサス出身のスワンプ・ロック・デュオDelbert & Glenのカヴァー。
デュオ結成はLAらしく、これはウェスト・コースト・サウンドでもあり、オリジナル、Ritaのカヴァーともにかっこいいいです。
5曲目「I Don't Want to Talk About It」は、Crazy Horseの曲であり、Rod Stewartのカヴァーで有名な曲。
Al Perkinsによるペダル・スティールが一層の雰囲気を引き立たせる美しいバラードです。
6曲目「Words」は、The Bee Geesのカヴァー。
こんな曲もカヴァーしているのですね。
無難に仕上げたバラード・ソングという感じです。
7曲目「Good Times」は、Sam Cookeのカヴァー。
「(Your Love Has Lifted Me) Higher and Higher」同様、この曲もクールにあっさりとしたR&B調に仕上げています。
8曲目「Who's to Bless and Who's to Blame」は、当時の旦那Kris Kristoffersonの曲。
ブルーズ・ロック調に仕上げられた本曲は、キレのあるDean Parksのギターが光る曲です。
サザン・ロック調のその名も「Southern Lady」を経て、最後の曲「The Hungry Years」はNeil Sedakaのカヴァー。
Carpentersを彷彿させるようなストリングをフィーチャーした美しいバラード・ナンバーです。
RitaもKaren Carpenterもアルト・ヴォイスだからなおさらそう感じるのかな。
それにしてもオリジナルのNeilのヴァージョンも滅茶苦茶いいじゃないですか。ソフロ好きにお薦めの曲ですよ。
レコーディングメンバーには、上記したJerry McGee、Dean Parks、Al Perkinsの他に、Booker T. Jones、Lee Sklar、Kim Carnes、Mike Bairdなど、豪華なメンツが参加。
「I Don't Want to Talk About It」のストリングス・アレンジはNick Decaroが手掛けています。
ポップな曲と、スワンプ調やカントリー調など泥臭い曲が交互に収録されていて、決して熱くもならないその歌い口が今一つ物足りなさを感じるアルバムですが、歌は上手いし、バックの演奏も確かなので安心して聴ける1枚です。
(収録曲)
1.(Your Love Has Lifted Me) Higher and Higher
2.The Way You Do the Things You Do
3.We're All Alone
4.I Feel the Burden (Being Lifted Off My Shoulders)
5.I Don't Want to Talk About It
6.Words
7.Good Times
8.Who's to Bless and Who's to Blame
9.Southern Lady
10.The Hungry Years
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Catherine Spaakが昨年4月に亡くなっていたなんて知らなかった…。
今回聴いたのは、Catherine Spaakのセカンドアルバムです。
冒頭「LA NOSTRA PRIMAVERA」、「L'ESERCITO DEL SURF」と、フレンチポップ全開の明るい曲が展開されます。
続く3曲目「QUESTI VENT'ANNI MIEI」、4曲目「MA TU」、5曲目「DIMME PERCHE」とスローなバラードナンバーが続きます。
6曲目「UN GIORNO QUALUNQUE」は異色なジャズ調のナンバー。
以後もポップなナンバー、スローなナンバーと収録されています。
ボーナストラックに、The Beatlesのカヴァー「Yesterday」が収録されています。
こういう曲もカヴァーしていたんですね。
Ennio Morriconeの曲も収録した本作は、前作のデヴュー作と比べればそれなりに聴く事が出来るアルバムですが、曲は良くても、個人的にはCatherine Spaakのヴォーカルが単調で12曲(ボートラ含めたら14曲)も聴くのは苦痛かな…。
(収録曲)
1.LA NOSTRA PRIMAVERA
2.L'ESERCITO DEL SURF
3.QUESTI VENT'ANNI MIEI
4.MA TU
5.DIMME PERCHE
6.UN GIORNO QUALUNQUE
7.SI MI VUOI, MI VUOI
8.MI FAI PAURA
9.PENSO A TE
10.COME FACCIO A DIR DI NO
11.IN UN GIARDINO
12.I GIORNI AZZURRI (FROM THE FILM "LA CALDA VITA")
13.VENT'ANNI O POCO PIU
14.IERI (YESTERDAY)
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今回はCanned Heat9枚目のアルバム『The New Age』を聴きました。
前作『Historical Figures and Ancient Heads』でJoel Scott Hillをメンバーに加えたCanned Heatですが、Hillは『Historical Figures and Ancient Heads』1枚限りで解雇され、新たにJames Shane(ギター)、Bob Hiteの弟のRichard Hite(ベース)を新たに面バーに加え発表したのが本作です。
アルバムは、新たにメンバーとなったRichard作の「Keep It Clean」からスタート。
ブルージーで軽快な冒頭曲に相応しい1曲です。
続く「Harley Davidson Blues」は、同じく新たにメンバーに加わったJamesの曲。
R&B調の曲で、どことなくThe Bandのようなスワンプ調っぽい泥臭い曲です。
3曲目「Don't Deceive Me」は、「Harley Davidson Blues」よりも軽快なR&B調の楽曲。
4曲目「You Can Run, But You Sure Can't Hide」は、スローなカントリー・ロック調の曲。ホーンセクションも加わり、のどかな空気が流れます。
どことなくカントリーテイストが溢れていた本作ですが、5曲目「Lookin' For My Rainbow」でその空気も一変します。
スローブルーズ調のこの曲は、ゴスペルシンガーClara Wardがデュエットでリード・ヴォーカルに加わり、へヴィな凄みを加えています。
6曲目「Rock & Roll Music」は、その名の通りR&B調のロックンロール・ナンバー。
7曲目「Framed」は唯一の他人曲。
アルバム中で最も熱いブルーズ・ナンバーですが、渾身のギター・プレイに痺れます。
ホットな「Framed」の後は、その熱さをクールダウンするかのようなアコースティック・ブルーズ・ナンバーの「Election Blues」。
最後は、R&B調の「So Long Wrong」でアルバムを締めくくります。
それまでの彼等のアルバムと比較してイメージを変えたと評されるアルバムですが、ブルーズ・ベースの渋い好盤だと思います。
(収録曲)
1.Keep It Clean
2.Harley Davidson Blues
3.Don't Deceive Me
4.You Can Run, But You Sure Can't Hide
5.Lookin' For My Rainbow
6.Rock & Roll Music
7.Framed
8.Election Blues
9.So Long Wrong
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最近、社内で流れている有線で、大橋純子の「シルエット・ロマンス」が時々流れるのですが、あまりの懐かしさに、そのパワフルな歌いっぷりを真似て心の中で鼻歌を歌っていました。
そんな中で報道された大橋純子の訃報…。
数年前に病気を患っているのは知っていましたが、近年シティ・ポップで評価が高まっていただけに残念です。
そこで今回は彼女のセカンドアルバム『ペイパー・ムーン』を聴いてみました。
実を言うと、「シルエット・ロマンス」を久し振りに聴いてみたいと思い、ベスト盤をレンタルしたのですが、その中に「シルエット・ロマンス」以上に気になる「坂の上の家」という曲が収録されており、「坂の上の家」が収録されているアルバムが無性に聴きたくなって手にしたのが、今回聴いた『ペイパー・ムーン』なのです。
アルバム冒頭を飾る「愛の祈り (Still A Boy)」は、全編英語詞の林哲司作曲、編曲の楽曲。
メロウなバラードで、バックコーラスも本格的でてっきり洋楽のカヴァーなのかと思ったら、林哲司の楽曲。さすがです。
続く「ひとり」は、寺尾聡作詞、ミッキー吉野作曲、編曲のによるバラード。
歌い出しはしっとりと展開しますが、サビはドラマチックにシャウトします。
この曲もクオリティが高いですね。
松本隆作詞、林哲司作曲による3曲目「キャシーの噂」。
これがなんとモータウン調というか、70年代アメリカ映画にでも流れてきそうなファンク・ナンバー。
いやはや、こんな本格的なフィーリングの曲が収録されているとは。
シリアスな歌詞の「白い午後」の後は、5曲目「心に住めない女」。
この曲も林哲司による作曲、編曲ですが、この曲はキャロル・キングを想起させるナンバー。
こんな曲も収録されているですね。
洋楽的な楽曲が収録されているアルバムの中では異色を放つ6曲目「やさしい人」。
「ザ・昭和」とも表現したくなるナンバーで、異色とはいえ昭和世代の自分にとっては懐かしさを感じてしまう好きな曲です。
この曲は、松本隆作詞、筒美京平作曲、林哲司編曲という錚々たる顔ぶれが並でいます。
一転してアゲアゲなファンク・チューンは、アルバムタイトル曲で7曲目の「ペイパー・ムーン」。
堂々たる大橋純子のヴァーカルもさることながら、村上秀一のドラム、松木恒秀によるギターのカッティングが速いテンポの楽曲を引き立てています。
続く8曲目「砂時計」は、ソフト・ロック調の曲。
ホーン・セクションによる演奏は、どこかCarpentersを思わせますね。
竜真知子による作詞も、大人の恋を歌っていていいですね。
9曲目の「別れのワイン」も、出だしのピアノによる洒落たアレンジや曲展開が素敵です。
随所に出てくるビブラフォンの音色に耳を奪われるジャズ調の最後の曲「ひきしお」もいい雰囲気です。
演奏陣には、村上秀一、松木恒秀、原田裕臣、Steve Fox、ミッキー吉野、水谷公生、羽田健太郎、後藤次利、鈴木茂、深町純と、超豪華な顔触れです。
私が聴きたかった「坂の上の家」はボーナストラック。
『娘の結婚』というフジテレビの昼ドラの主題歌に使われたシングル曲で、歌謡曲調ではありますが、恐らくバックで演奏しているのは今回聴いたアルバムで演奏している面子と大して変わらないのではないでしょうか?
是非誰が演奏しているのか知りたいところです。
他にブルージーな「夜汽車よ夜汽車」や、カントリー調の「私今日はがんこです」などもボーナストラックで収録されており、聴き所が多いアルバムです。
昨今のシティ・ポップ・ブームで評価されている大橋純子は、ファンキーなイメージの楽曲が強いのですが、本作ではそんなイメージのファンク・ナンバーから、ソフト・ロック、バラード・ナンバーなどしっとりした曲も難なく歌いこなしており、本当に実に上手い歌い手さんだったんだなぁと思います。
今一度色々な角度から彼女を再評価して欲しいなと思いました。
(収録曲)
1.愛の祈り (Still A Boy)
2.ひとり
3.キャシーの噂
4.白い午後
5.心に住めない女
6.やさしい人
7.ペイパー・ムーン
8.砂時計
9.別れのワイン
10.午前3時の祈り
11.ジョーク
12.ひきしお
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America、スタジオ録音10枚目のアルバムです。
Dan Peekは1977年に脱退し、レコード会社もワーナーからキャピトルに移籍しています。
Dan Peekが脱退した1977年に発表した『Harbor』を最後に発表するアルバムが100位内にランキングせず低迷するのですが、奇しくも低迷し始めたのがキャピトル移籍後に発表したアルバムというのも皮肉なものです。
そんな中で発表された本作は、キャピトル移籍3枚目のアルバムなのですが、『Harbor』以前のアルバムと比べるとまだまだですが、ランキング41位まで昇りつめました。
ビルボードチャート8位まで昇りつめた、ArgentのRuss Ballard提供のシングル曲「You Can Do Magic」をはじめとして、「Never Be Lonely」、「Inspector Mills」、「Love On The Vine」など、彼等のライヴでもお馴染みの曲が何曲か収められています。
ギタリストにDean Parks、Steve Lukather。ドラマーにJeff Porcaro。そしてバックヴォーカルにCarl Wilson、Christopher Cross、Tom Kelly、Thimothy B. Schmitなどウェストコースト系の豪華ミュージシャンをゲストに迎えた本作ですが、個々の楽曲はいいのですが、アルバム全体で見ると、特に6曲目以降に今一つ精彩を欠いているかなという感じです。
Americaというと、フォーキーで素朴なDewey Bunnellの楽曲と、メロディアスでブリティッシュ・ポップ的なGerry Beckleyの楽曲が魅力だと個人的に思っているのですが、AORが全盛となったロックシーンの中で時代に合わせた作品です。
ヒットした「You Can Do Magic」もいいですが、個人的には地味ですが「Right Before Your Eyes」が好きかな。
(収録曲)
1.You Can Do Magic
2.Never Be Lonely
3.You Girl
4.Inspector Mills
5.Love On The Vine
6.Desperate Love
7.Right Before Your Eyes
8.Jody
9.Sometimes Lovers
10.Even The Score
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Sugarloafのセカンドです。
前作ファーストはチャート24位を記録し、シングルカットされた「Green-Eyed Lady」はビルボード3位にを記録するヒット作となりましたが、このセカンドでは新メンバーとしてBob Yeazel(ジャケットにはRobert Yeazelと記載がありますが…)が参加し、楽曲提供の中心を担っています。
冒頭アルバムタイトル曲「Spaceship Earth」はYeazelの単独作でインスト曲。
タイトル通りSFを想起させるどことなく緊張感漂う曲です。
続く「Hot Water」は、前作で中心を担ったJerry CorbettaとYeazelの共作。
ギターを前面に出したハード・ロック調の曲ですが、途中コーラスワークやキーボードソロも飛び出し、転調もするなどプログレ・ハードともいうべき曲です。
3曲目はソフト・ロック感もあるポップ・ロック「Rusty Cloud」、4曲目はエレガントなピアノソロも展開されるブルージーな「I Don't Need You Baby」と続き、5曲目「Rollin' Hills」はカントリーテイスト感のある曲と、前作とは違ってあまりプログレ感がないです。
6曲目「Mother Nature's Wine」は、前作の「Green-Eyed Lady」のイメージに近い曲。
Sugarloafというとやはりこんな感じの曲を連想してしまうのですが、この曲はやはりCorbettaの曲です。
8曲目の「Woman」は、ご機嫌なソフト・ロック調の曲から、フレンチポップ調の曲へと転調する面白い曲です。メンバーのコーラスもなかなかいいです。
アルバム最後は7分を超える大曲。
曲展開、各楽器の演奏ともにあまり緊張感がないので、長い割には退屈に思えてしまうかもしれません。
Corbettaのキーボード・プレイには光るものがあるので、前作と比べるとアルバムの構成力も落ちているのが惜しいかな。
(収録曲)
1.Spaceship Earth
2.Hot Water
3.Rusty Cloud
4.I Don't Need You Baby
5.Rollin' Hills
6.Mother Nature's Wine
7.Country Dawg
8.Woman
9.Music Box
10.Tongue in Cheek
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Joni Mitchellの4枚目のアルバム。
キャリア初期を代表する1枚として有名です。
ウェストコーストを代表するSSWですが、彼女のアルバムを聴くのはこれが初めてだったりします。
ウェスト・コースト・ミュージックのベスト盤とかでは、何曲か彼女の曲を聴いているんですけどね。
Stephen StillsやJames Taylor、The Flying Burrito BrothersのSneaky Pete、Russ Kunkelが録音に参加していますが、アコギやピアノを中心とした実にシンプルな楽曲で、派手な演出は一切ありません。
と書くと、単調なイメージを思い浮かべてしまいますが、冒頭曲「All I Wan」をはじめとして、「Carey」や「This Flight Tonight」などリズミカルな楽曲や、「My Old Man」、「Little Green」など、じっくりと想いを込めたような説得力のある楽曲や、Sneaky Peteのスティールギターが参加したカントリー・ロック調の「California」などの曲を巧みに絡めた本作には、単調さは感じられません。
朝晩はグッと温度が低くなり、昼も過ごしやすい気温になった今頃に聴くのにいいアルバムですね。
個人的なお気に入り曲は「Little Green」。
リズム感のある曲もいいですが、やはりシンプルな楽器を背景にした本作では、「Little Green」のような落ち着いた曲が、自分には一番しっくりきます。
今までキーの高いJoniのヴォーカルがあまり好きではなかったのですが、他の作品も聴いてみようかなと思いました。
(収録曲)
1.All I Want
2.My Old Man
3.Little Green
4.Carey
5.Blue
6.California
7.This Flight Tonight
8.River
9.A Case of You
10.The Last Time I Saw Richard
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The Yardbirds、アメリカでのセカンド・アルバムです。
アメリカでのファースト・アルバム『For Your Love』もそうだったのですが、本作もアメリカ独自の編集盤。
全10曲のうち1〜6曲目までをJeff Beck在籍時のシングル曲を収録。7〜10曲目を、Eric Clapton在籍時のデヴュー・アルバムにしてライヴ・アルバムである『Five Live Yardbirds』からチョイスした曲を収録しています。
このバンドのアルバム事情は複雑で、デヴュー作はライヴ盤。
実質的な2作目となった『Roger the Engineer』の方が、この米セカンド・アルバム『Having a Rave Up with the Yardbirds』よりも発売が遅いみたいなので、何なんだこれは?という感じ。
とはいえ、個人的にThe Yardbirdsというと、冒頭「You're a Better Man Than I」やBo Diddleyのカヴァー「I'm a Man」、グレゴリオ聖歌を基にした「Still I'm Sad」、Graham Gouldmanが提供したサイケな「Heart Full of Soul」など、本作に収録された楽
曲のイメージが強い。
極めつけは後にAerosmithもカヴァーする「Train Kept A-Rollin'」。
Jimmy Page在籍時が一番長かったみたいだけど、Page時代は、バンドの人気も下降線を辿っていたので、やはり一番脂が乗っていたのはBeck時代なのかなと思います。
とはいえ、シングルをかき集めて、ライヴ盤から何曲か抜き取っただけの安易なアルバムなので、ベスト盤的な感覚は拭えないのですが…。
(収録曲)
1.You're a Better Man Than I
2.Evil Hearted You
3.I'm a Man
4.Still I'm Sad
5.Heart Full of Soul
6.The Train Kept A-Rollin'
7.Smokestack Lightning
8.Respectable
9.I'm a Man
10.Here 'Tis
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今年の夏は本当に暑かったですね…、なんて今も夜こそようやく涼しくなりましたが、昼間はまだ30℃前後になりますからね。。。
「ひと夏の思い出」なんて言いますけど、梅雨らしい雨も降らず、7月ぐらいからずっと暑かったので、7、8、9月と三夏ぐらい過ごしてしまったので、思い出もくそもないな…という感じです。
季節を巡る情緒感もどんどん失われてきますね。
そんな暑い夏もようやく終わりに近づいたからといってはなんですが、今回は村田和人の『ひとかけらの夏』を聴きました。
山下達郎がプロデュースとアレンジを手掛けた本作は村田和人の代表作ですね。
アルバム冒頭曲「一本の音楽」は、マクセルのカセットテープのCMに使われた曲。
その当時、私は中学生で村田和人の名前も知らなかったのですが、今こうしてこの曲を聴けば、しっかりと思い出されて、自分の頭の中にしっかりと刷り込まれている事に気付きます。昔(昭和)は、こういう名曲が見事にマッチしたCMが多かったです。
爽快に空へ突き抜けるような村田和人のヴォーカルと、山本圭右のギターは、これぞ夏Song!というべき名曲。
続く「Summer Dream」は、Santo & Johnnyの「Sleep Walk」というインスト曲が原曲らしいのですが、これこそ正に「ひと夏の思い出」とも例えるべきメロウ・バラード。
センチメンタル・シティ・ロマンスの告井延隆が奏でるスティールギターがメロウ感を演出します。
メロウから一転して豪快なギター・ソングへと展開する3曲目は「台風ドライブ」。
台風とタイトルに付いていますが、ぶっ飛ばすようなドライブ感には嫌なものは微塵も感じさせません。
「Travelin' Band」も、爽やかな印象が強い本作の中では、どちらかというとへヴィな楽曲ですが、バンドマンの事を歌ったこういう曲には、これくらいロックな曲が似合います。スライドギターのような音色が聴こえ、いい味を出しているのですが、誰の演奏
何でしょう?
続く「やさしさにGood-bye」は、バラード・ナンバーなのですが、「Summer Dream」とは違い、乾いたアコースティックギターが爽やかながらも、ほろ苦さも漂わせます。
こういうアルバムも、気候変動で実感の湧かない作品となってしまうのでしょうか…。
(収録曲)
1.一本の音楽
2.Summer Dream
3.台風ドライブ
4.So Long, Mrs.
5.Catching The Sun
6.Travelin' Band
7.やさしさにGood-bye
8.幻影(イリュージョン)
9.Love has just begun
10.ニコニコ・ワイン
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今回もEagles脱退後のRandyについて2回目です。
サードアルバム発表後Randyは、元BreadのJames Griffinや、「I Can Help」などのヒット曲を持つシンガー・ソングライターBilly Swan等とBlack Tieというプロジェクト的なグループを結成し、1985年に『When the Night Falls』というアルバムを発表します。
このアルバムは、メンバーの提供曲に加えて、The Driftersの「Save The Last Dance For Me」や、Buddy Hollyの「Learning the Game」といったオールディーズ・ナンバーのカヴァーや、The Beatlesのカヴァー「I Feel Fine」などを収録した作品で、「Save The Last Dance For Me」は、Randyがファーストソロアルバムでも取り上げた事がある点からも、Black Tieのコンセプトは、Randy等の音楽ルーツが窺える内容です。
ただこのBlack TieでのRandy、滅茶苦茶存在感が薄いです。上記でメンバーの提供曲と書きましたが、Randyだけは提供曲がありません。
しかもアルバムが発表された1985年当時のレコードでは、「Learning the Game」のリード・ヴォーカルはRandyだったのですが、再発売(?)された1990年のCDでは、「Learning the Game」のリード・ヴォーカルが何故かJames Griffinに差し替えられ、なおさらRandyの存在感が薄いものになっています。
なおBlack Tieは、2006年に突然3曲入りのミニアルバム(?CD-Rに焼いたチープなものですが…)を発売しているのですが、このアルバムでもRandyの存在感は感じられない内容でした。
Black Tieの後、元The Flying Burrito Brothers、元FirefallのRick Robertsとの活動を経て、1989年にPocoの再結成に参加します。
この再結成Pocoは、全盛期を支えたTimothy B. Schmit、Paul Cottonを除いた、オリジナルメンバーによる再結成でした。
この時発表されたアルバム『Legacy』は、往年のPocoでの、それぞれのメンバーの力関係とはかなり違った内容となっています。
それぞれの楽曲のリード・ヴォーカルをみていくと、アルバム冒頭曲「When It All Began」と「If It Wasn't For You」の2曲でRichie Furayがリード・ヴォーカルを執っていますが、その他はRandyが3曲、Rusty Youngが3曲、Jim Messinaが3曲とリード・ヴォーカルを執っています。
楽曲提供(共作含めて)も、Jimが4曲、Rustyが3曲、Richieが2曲となっており、バンド結成の中心人物だったRichieの比重が弱くなっています。
これはPoco脱退後、Eaglesで成功したRandy、Loggins and Messinaでやはり成功したJim、そしてPocoを結成から活動停止まで支え、Poco史上最高のヒット作となった『Legend』を生み出したRustyに対して、Poco結成の中心メンバーながらも、バンド在籍時はスマッシュヒットを生み出せず、バンド脱退後もSouther, Hillman, Furay Bandなど話題を集めながらも大きなヒットに到らなかったRichieの立ち位置が反映されているのかなと思います。
本作でのRandyは、自作曲こそないものの、Richard MarxとBruce Gaitschの共作によるバラード「Nothin’ to Hide」や、ブルージーなロック・ナンバー「The Nature of Love」などでリード・ヴォーカルを執っており、しかもこの2曲はシングル・カットされるなど、とてもファースト・アルバム発表前に脱退したメンバーとは思えないほどの存在感を放っています。
このアルバムは最高位40位、シングル・カットされた「Call It Love」は18位と、好評をもって迎えられ、1990年には(Richie抜きで)来日公演もしていますが、オリジナルメンバーでの活動は一時的なもので、メンバーはそれぞれの活動に戻っています。
再結成Pocoの後、RandyはBlack Tieに戻ります。
しかしBlack Tieは、James Griffinがカントリー・バンドThe Remingtons結成のためBlack Tieを脱退してしまった為、新たにCharlie Rich Jr.というメンバーを加え、Randy Meisner、Billy Swan、Charlie Rich Jr.の3人の名前から取った、Meisner, Swan & Richというグループ名で再始動します。
Meisner, Swan & Richは、1992〜1994年頃にアルバム『Meisner, Swan & Rich』を録音しましたが、アルバムが発表されたのは2000年になってからでした。
アルバム内容は、Black Tieとは打って変わってハーモニーワークを最大限に生かした王道のカントリー・ロックという感じです。
収録曲をみてみると、Randy自身は「My How Things Have Changed」だけを単独で提供し、あとは「Where The Rubber Meets The Road」を他のメンバーと共作しているのみで、他はSwanとRichによる曲で占められております。
リード・ヴォーカルも上記「My How Things Have Changed」と、「(It's Like I) Never Had A Broken Heart」ぐらいで、Black Tieほどではないものの、やはり存在感が強いという感じではないのですが、グループ名の一番先頭に名前がきているのは、やはり最大の成功者だからでしょうか?
Meisner, Swan & Richでの活動の後、Eaglesは1994年に再結成するのですが、この再結成にRandyは呼ばれず、大いに失望したそうです(Glennとは、また一緒に活動したいと連絡を取り合っていたようですが…)。
とはいえ、1998年にEaglesがロックの殿堂入りを受賞した際には、その授賞式でかつてのメンバーと再演する事になりました。
Randyは、1996年にTotoのBobby KimballやVanilla FudgeのCarmine Appice等、往年のロックスター達が集結したスーパーグループWorld Classic Rockersに参加し、2005年まで活動をともにしています。
そんな最中の2003年に、前々回で取り上げたThe Drivin' Dynamicsの音源集『Do Not Pass』と一緒に日本で最初に発売されたのが、Randyの未発表音源集『Love Me or Leave Me Alone』。
The MillenniumのJoey Stecのプロデュースによる本作は、冒頭の「Long Time Blue」から爽やかな80年代AOR調の好曲の連続で、何故こんないい曲をサードアルバム以降に発表しなかったのか、本当に悔やまれます。
「Long Time Blue」や「In a Minute」、「Don't Keep It Inside」、それに「My How Things Have Changed」にRandyと共に曲作りに関わったのはBruce Gaitschで、恐らく1980年代に楽曲制作、録音されたものではないかと推察されます。
特に「My How Things Have Changed」は、上記の『Meisner, Swan & Rich』でも収録されましたが、カントリー・ロック色の強い『Meisner, Swan & Rich』バージョンに比べ、この音源集でのバージョンは爽やかな西海岸ポップ・ロック調で、本作での珠玉の1曲と言えます。
本作にはBruce Gaitschとの共作曲に加え、Steve Porcaro作の「Walk of Life」を収録しています。
Randyは2004年頃から心臓疾患を患い、2005年にWorld Classic Rockersの活動から退きますが、その後は表舞台にあまり出てこなくなります。
2016年には2番目の奥さんが銃の暴発により亡くなり、Randy自身もアルコール依存症など健康状態が晩年まで心配な状態で、2013年のEaglesのツアーに参加するよう要請されるも、健康状態が不安で断っています。
本国アメリカでは、EaglesのメンバーながらもDon HenleyやGlenn Freyのような評価を受ける事はありませんでしたが、ここ日本では、ライヴアルバム『Dallas』の単独発売や、The Drivin' Dynamics、Meisner, Swan & Rich、そして『Love Me or Leave Me Alone』をいち早く取り上げるなど、そんな彼を温かく評価しました。
日本人は何故そんなに彼の事が好きなのでしょうか?
生活において公私ともに完璧な人間であろうとする現代社会において、彼の優しい人柄もさることながら、その浮き沈みの激しい人生模様や人間の弱さなどに、また人間的な魅力を感じてしまうのかなと、私は思ってしまうのです。
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