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バベル

『バベル』。
そもそも何故こんなタイトルを付けたのだろうと考える。
日本でも横山光輝原作の『バビル二世』の漫画やアニメで広く浸透しているけれども、バベルといえば旧約聖書の「バベルの塔」を即座に思いつく。
確かあれは、天にまで届く高い塔を、人間達が建設しようとしたら、それを見た神様が怒って、塔を破壊してしまったという話では…と思って調べたら、違っていました(汗)。
もともと1つの言語を話していた人類が、天にまで届く塔を建設しようとしたら、1つの言語を話して意思疎通が図れる事が原因だと考えた神様が、怒って複数の言語を話させるようにしてしまったため、人類は混乱して各地に散っていった…という事らしい。


菊地凛子が、アカデミー助演女優賞をノミネートされたという事で、大いに話題を集めた『バベル』だけれども、ストーリーはこんな感じ。
舞台は、モロッコ、アメリカ(メキシコ)、そして日本。この3つの国・地域で起こっている事が、互いに関連しあいながら話は進んでいくオムニバス形式。

まず、モロッコ。話は、牧畜を営むある一家が、ライフルを入手した事から始まる。
そもそもこのライフルは、放牧の際のジャッカル除けに入手したものであったが、この一家の兄弟(子供)が悪ふざけで、丘の上から道路を走る1台の観光バスに向けて発砲した際、バスに乗っていたあるアメリカ人観光客夫妻の妻に当ってしまう(そしてこの事が世界的なニュースになってしまう)…。

モロッコで大変な事態が発生した一方、この夫妻の2人の子供達は、メキシコ人のベビーシッターの下で、サンディエゴの自宅で留守番をしていた。
このベビーシッターは、自分の息子の結婚式の日は、代わりのベビーシッターを呼んで交代してもらうはずであったが、代わりのベビーシッターが見つからず、その日も2人の世話を任せられてしまう羽目になる。
そこで彼女は、自分の息子の結婚式に、この2人の子供達を連れて、故郷のメキシコに行ってしまうが…。

そして、日本。
ある聾唖の女子高生は、最近キレやすい。彼女は破滅的な行動をするようになる。
そんな彼女の元へ、父親と会って、(以前所有していたライフルの件で)話がしたいという警視庁の刑事がやって来る。
彼女には、母親が亡くなっており、その件で以前にも警察がやって来るという過去があったが…。


と、ストーリーはこんなところで、この3つの国・地域で起こっている話が、相互に関連しあって進んでいくのだが、それだけだったら、ああそうなのね〜で終わってしまう。
話の核になるのは、モロッコを観光していたアメリカ人夫妻という夫婦の間の関係と、日本での聾唖の女子高生とその父親との親子の間の関係なのだが、この両者はどちらも家族を一人失っており、その事が原因で、夫婦、或いは親子の関係がぎくしゃくしているのだが、「バベルの塔」の話に関連付けてみれば、「お互いに通じ合っていたものが、通じ合わなくなる」という事になるのだろう。

でも、その「関係が壊れていく」という点だけを描きたいのなら、何もこんなワールドワイドな話を展開しなくてもいいと思う。
ここで私が着目したのは、間違って認識していた「神の怒りに触れ、塔を破壊されてしまった」という点だ。
モロッコでの事件を観ていて、この作品が、あの9・11テロを意識して描かれているのは、モロッコでの事件を巡って、アメリカとモロッコ両政府の非難の応酬と、撃たれた妻を救出するのに手間取っている様を観れば、なんとなく分かると思う。
崩れ落ちるビルは、バベルの塔か…。
悪ふざけが原因でバスを撃ってしまった兄弟の一家には後に悲劇が訪れる。代わりのベビーシッターが見つからなく、仕方なく息子の結婚式に、メキシコまで世話をしている子供達を連れて行ったベビーシッターは、後に砂漠に置き去りにされる…。脱法ドラッグに手を出し、破滅的な行動をする女子高生。
テロ。西欧とイスラム社会の衝突。不法就労者。脱法ドラッグ…。
代替エネルギーの需要が高まり、オレンジジュースの値段が高騰したり、世界や地球環境は、ますますグローバル化し、一体化していくけれども、様々な問題もますます増えていく現代社会。
劇中、砂漠に置き去りにされたベビーシッターと(彼女が世話をしている)子供達との間で、こんな会話がある。「悪い人間なの?」。
人間の罪深さを感じずにいられない…。


監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 出演:ブラット・ピット、ケイト・ブランシェット、役所広司、菊池凛子他
2006年メキシコ作品
Macchi * 映画 * 22:41 * comments(2) * trackbacks(1) * pookmark

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コメント

こんにちは。ご無沙汰しております。
バベル…先日私も観ましたが、観た直後は???な感じで日本のシーンが浮いているなあなんて想っていたのですけれど、色々な意見を読んでいくにつけ、意外と日本のシーンが一番映画のテーマに近いのかなあと想ってみたり。

しかし、アメリアは本当に気の毒でした(モロッコの家族もだけれど)…。
Comment by ひろまさ @ 2007/05/27 12:49 PM
ひろまささんどうも。お久しぶりです。
日本の部分は、少々他の地域と結びつけるのにこじつけに近いものもありましたね。
どの地域も重いストーリーでした。
Comment by Macchi @ 2007/05/28 12:20 AM
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真・映画日記『バベル』

4月27日(金)◆424日目◆ 最初に言う。 点数は10点満点、いや、それ以上である! アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの最高傑作!! 映画とは世界を見ることだ。 それをイニャリトゥは、 『アモーレス・ペロス』、『21g』の脚本家ギジェルモ・ア
From            @ 2007/05/20 12:20 AM
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