<< May 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 硫黄島の砂 | main | 今年を振り返って >>

硫黄島からの手紙

『父親たちの星条旗』に続いて、今度は日本軍側から硫黄島の戦いを描いたイーストウッド監督の第2段。

最近、本屋に行くと、戦記コーナーや歴史物コーナーで、硫黄島の戦いや栗林中将に関連した本や雑誌が多いのに気付く。
『硫黄島からの手紙』の公開で、降って沸いた「硫黄島ブーム」だ。
それらの本を手に取って読むと、硫黄島の戦いをいかにして日本軍が戦ったのか、敢闘したのかとも書いてあるような本も少なくない。

確かに硫黄島の戦いは、日本軍が約21,000人の損害を出したのに対し、アメリカ軍は約25,000人の損害を出した、太平洋戦争史上唯一アメリカ軍の損害が日本軍の損害を上回った戦いで、映画の宣伝通り、1ヶ月もの間戦闘が行われた大激戦でもある。
しかし、いかに敢闘せれども、日本軍の損害のほぼ全部が戦死であり、捕虜になった者は少なく、物量で圧倒的に勝るアメリカ軍を前に、凄惨極まる悲惨な負け戦だった事も事実。
1ヶ月もの間持ち応えたという映画の宣伝とは裏腹に、映画を観ていて、実にテンポの悪い、苦い映画だなぁと思ったのは、この戦いが決して「敢闘」という美談、英雄話では終われない、終えてはならない事実だったからだと思う。

映画は、(最初現在の硫黄島で、発掘調査をしている場面から始まるが)西郷(二宮和也)らが海岸で塹壕を掘る中、栗林中将(渡辺謙)が硫黄島に降り立つシーンから始まる。
栗林という人物は、アメリカ留学の経験もある知米派で、アメリカ軍と対峙するに際して、それまでの日本軍が採用してきた戦法をことごとく覆す。それは、上陸してくるアメリカ軍を水際で食い止めるのではなく、ある程度まで上陸させたところで、張り巡らされた要塞や地下壕で迎え撃つというものであった。また、むやみな万歳突撃や自決を禁じ、一箇所の拠点が陥落しても、後退に後退を重ね徹底抗戦をするものだった。
栗林の作戦が功を奏して、アメリカ軍は当初の目論見とは違って、大損害を出す。
しかし、圧倒的な物量を誇るアメリカ軍には抗し切れず、摺鉢山の拠点も陥落し、他の拠点も次々と落ちていく。また、栗林のやり方に反発を覚える将校(中村獅童)の存在や、命令を無視した自決、連絡の悪さもあって、作戦はなかなか栗林の思うようには進まない。
そして、栗林をはじめとして、最終的に生き残った者達は、栗林を筆頭に米軍陣地に最期の突撃を仕掛けるのだった…。

栗林という人物は、知米派であったと書いたが、この戦いでは西中佐(伊原剛志)という、ロサンゼルスオリンピック出場経験のある、やはり知米派も参戦している。
栗林がアメリカ留学中に、アメリカ人の知人から日本とアメリカが戦争になった場合、あなたは戦うか?と問われ、信念に従って戦うが、アメリカと日本は戦ってはならないと、回答に窮す場面があるが、こういう良識のある(視野の広い目を持った)人達が、こういった形で死ななければならなかった事は、軍人の性ではあるけれども、色々な事情があるにせよ、戦争に突き進んでしまった当時の日本をもう一度検証する必要があると思う。

戦争映画において、「味方」、「敵」をどうやって公平に描くかは、常に問題になるところだけれども、この作品はアメリカ軍側からと、日本軍側からと両方から、硫黄島の戦いを描く事でその回答を導き出したのだが、果たしてそれが成功したのかは今一つよく分からない。
ただ、当時の日本人が中村獅童演ずる将校のような人間ばかりではなかった事や、アメリカ人と同じようにそれぞれ家庭があり、生活があった事を、アメリカ人であるイーストウッドが描いた事は評価できる。

俳優陣では、二宮和也の評価が高いけれども、敗色濃厚で、士気も下がってきていたかもしれないが、上下関係の厳しい当時の日本軍において、ああいう口の利き方を平然と出来たのだろうかと、ちょっと疑問。体罰どころか、リンチの対象になってしまうのでは…。
考証は、かなり研究したようだけれども、言葉使いとか詰めが甘かったかな!?

ただ、この映画は本来、アメリカ人が撮るのではなく、日本人が撮るべきだっただろうね。

2006年アメリカ作品 監督:クリント・イーストウッド 出演:渡辺謙、二宮和也、伊原剛志他
Macchi * 映画 * 16:07 * comments(1) * trackbacks(1) * pookmark

スポンサーサイト

スポンサードリンク * - * 16:07 * - * - * pookmark

コメント

こんにちは。
大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。
映画「硫黄島からの手紙」もとりあげています。
よかったら、寄ってみてください。

http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611
Comment by kemukemu @ 2006/12/30 3:52 PM
コメントする









トラックバック

真・映画日記『硫黄島からの手紙』

12月10日(日) 11時前に起きる。 パンを食べたり身支度をし、 11時40分には外出。 上野の東急系列の映画館で『硫黄島からの手紙』を見ることに。 午後1時前に着く。 すると、階段に列が出来てるではないか? さすがは人気作。 なんとか中通路の席が取れた。
From CHEAP THRILL @ 2006/12/23 4:31 PM
このページの先頭へ