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父親たちの星条旗

※ネタバレを含んでいるので注意

例えばロバート・キャパの「崩れ落ちる兵士」(思えば、この写真もヤラセじゃないかという疑惑があるが)のように、戦場写真には強烈なワンシーンを焼き付けるものが多々ある。
今回観てきた『父親たちの星条旗』が題材とした、摺鉢山の頂上に星条旗を建てるあのシーンを写した写真も、そういった類の写真だ。

この映画は、クリント・イーストウッドが監督をしており、アメリカ側から見た硫黄島の戦いと、日本側から見た硫黄島の戦いを描くという話題の映画で、今回はアメリカ側から見た硫黄島の戦いであり、あの写真をめぐる裏話(本当の話)を扱った映画だ。

ストーリーは、あの写真に写っていた衛星下士官ジョン・ブラッドリー(ライアン・フィリップ)の回想と、その息子が父親の過去を当時の戦友達に尋ねる事で明らかになっていく真実という展開で進んでいく。

1945年2月16日。
アメリカ軍は、戦略的重要性から奪うべく、日本軍守備隊が守る硫黄島への上陸作戦を開始する。そしてその中には衛星下士官ジョン・ブラッドリーらもいた。
島への連日の猛爆撃に加えて、(劇中によると、減らされたらしいが)上陸前の艦砲射撃により、上陸、そして島の占領は上手く進むものと思われた。
上陸直後の島の様子は、島を守る日本軍は壊滅したのかと思わせるほどの静けさだったが、部隊が島へある程度進んでいくと様相は一変し、ブラッドリーらは日本軍の猛反撃に遭い、仲間が次々と倒れ、戦場の壮絶な光景を目の当たりにする。
散発的な抵抗は残るものの、やっとの事で島の南側にそり立つ摺鉢山を占領したアメリカ軍は、その頂上に星条旗を打ち立てる。
が、その星条旗を記念に持ち帰りたがった海軍長官のために、最初に打ち立てられた星条旗は降ろされ、別の星条旗が代わりに打ち立てられる。
その星条旗を打ち立てたシーンこそ、あの歴史的ワンシーンを収めた写真のシーンであり、その星条旗を打ち立てた海兵隊員こそ、ブラッドリーをはじめとする数名の海兵隊員であった。
写真は直ちに新聞に掲載されるが、当時財政が破綻寸前で、戦費調達に困っていた政府は、この写真を利用する。
「2回目の」星条旗を打ち立てた数名の海兵隊員のうち、生き残ったブラッドリー、アイラ・ヘイズ(アダム・ビーチ)、レイニー・ギャクノン(ジェシー・ブラットフォード)の3人は、政府の戦時公債購買促進キャンペーンのために駆り出され、アメリカ各地を転々とする事になる…。

あの硫黄島の歴史的なワンシーンに、このような裏話があったとは正直驚いた。
日本人である僕はともかく、当のアメリカ人はこのような事実を知っているのだろうか。
また同じ戦時下とはいえ、当時の日本はアメリカ軍の空襲にさらされていたと思うが、一方でアメリカ本土の実に平和な光景には、兵士達が戦場に行っているとはいえ、これが戦時下なのか?と思ってしまうほどの戦場と本土の対照的な光景であったりする。

イーストウッドは、この映画で何を描きたかったのか?
単に安易な反戦映画を作りたかったわけではないと思う。ならば、3人の数奇な運命を描く必要はなく、単に戦場の悲惨な光景を描写すればいいだけの事だ。

僕はこの映画に、今日本が過去の歴史とどう向き合うべきなのか、ある意味一つのその糸口を提示しているように思えるのだが、まあその先はこの映画のもう一つの側面である「硫黄島からの手紙」を観てから書こうと思う。


2006年アメリカ作品
監督:クリント・イーストウッド、出演:ライアン・フィリップ、アダム・ビーチ、ジェシー・ブラットフォード他

父親たちの星条旗
Macchi * 映画 * 23:51 * comments(2) * trackbacks(2) * pookmark

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コメント

これ、見たいと思っているのですが
なかなか時間が取れなくて。
同じように日本サイドの方も見たいんです。
その両方が揃って、初めて何かが見えてくるかも知れないですね。
Comment by 山田さん @ 2006/11/11 4:59 PM
●山田さん
最近の映画は、よほどの人気作でない限り、そう長々と上映しませんから、観たいと思った時に観に行かないと、終わってしまいますよ。
戦争映画ですから、山田さんのうちのAVシステムが5.1chならいいですが、普通にDVDを観るのでは、劇場で観るのと全然音響効果が違いますよ。
この作品についての、僕なりの意見については、次作を観てから書きます。
Comment by マッキ @ 2006/11/12 10:33 PM
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