2015年第35週の帰宅BGMは、Fuseの唯一のアルバム『Fuse』を聴きました。
Fuseは、後にCheap Trickを結成する事になるRick NielsenとTom Petersonがメンバーだった事を知る人ぞ知る、マニアックなバンドです。
アメリカン・ハード・ロックのムック本でその存在を知り、以前から聴きたいと思っていましたが、たまたまディスク・ユニオンで発見し、少々ジャケットの縁が古くて黄ばんでいましたが、安価だったので迷わず購入しました。
聴いてみると、実に興味深い内容でした。
アルバム冒頭の曲「Across The Skies」こそ軽いタッチの曲なのですが、2曲目「Permanent Resident」以降は、激しい曲が中心となります。
ハード・ロックといっても、「4/4 3/4」を除けば、ブルーズ・フィーリングのある曲ではなく、「Show Me」や「Mystery Ship」などは、Rick Nielsenが操るオルガンやメロトロンをフィーチャしたへヴィ・ロック(このバンドでは、Rick Nielsenはサイドギター、オルガン、メロトロンを担当)。
「Permanent Resident」や「To Your Health」は、曲の途中で転調もある為、70年代的に言えばプログレ・ハードといった印象。
このアルバムが発表された60年代末期的な観点から見れば、初期Deep Purpleのようなアート・ロック、へヴィ・サイケという感じです。
しっかりとした演奏は聴き応えがあり、特に4曲目「To Your Health」はインスト曲で、メロトロンを大々的に使っており、あのKing Crimsonよりも1年早くアルバムで使用している点でも、かなりの先進性が窺える内容です。
バンドメンバーは、Rick Nielsenを除けば、他は全員10代だったというのも驚きで、特にヴォーカルのJoe Sundbergは、この歌いっぷりにも関わらずまだ17歳だったというから、その声質の老けっぷりというか(苦笑)、大物ぶりに舌を巻きます。
All Musicで調べてみましたが、Joe Sundbergは、その後は目立った音楽活動はしてないようですね。このヴォーカルなら、その後大成する事も出来たでしょう。
Fuseは、結局この1枚きりで終わってしまいましたが、Vanilla Fudgeなどと同列に扱われていれば、かなり成功を収める事も出来たんじゃないかなと思える内容です。
|
ヒューズ
エピックレコードジャパン
【ディスク1】
- 空に向かって
- 変わらぬ愛を
- ショウ・ミー(メドレー)
- トゥ・ユア・ヘルス
- 心に窓を
- 4/4 3/4
- さまよえる船
- 悲しみにみちた日々
|