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アーリー・デイズ(二十歳の原点+未発表ライヴ)/四人囃子
JUGEMテーマ:音楽
先日、ある手続きに行きました。 手続きの案内にも書かれていましたし、事前に確認した際にもマイナンバーの確認があるので確認書類を忘れないようにと言われたので、確認書類を持参しましたが、全くのノーチェック。 こちらから、「確認しないのですか?」と聞いてもなしとの事。 何なんだろうね。この制度(というか運用)。
本題です。 四人囃子の公式デヴュー作である『一触即発』以前にレコーディングされた映画『二十歳の原点』のサントラ盤。 2015年4月5日に記事にしましたが、今回聴いたアルバムは、そのサントラから主演女優による語りを除いて音楽だけにし、さらにライヴ音源等を加えたアルバムです。 音楽だけにする事で、サントラとはいえ、彼等の音楽的な魅力や背景がより窺える、単なる再構成アルバムにとどまらず、これはこれで興味深いアルバムです。
改めてこのサントラを聴いて、「学園闘争」や「煙草(夜PART2)」のように、キーボードやワウを効かせたエレキギターを前面に出したいかにもプログレ的な側面と、「夜(PART1)」や「青春」のようにフォーキーな側面で構成された本アルバムは、サントラだからある意味当たり前でしょと分かってはいても、一つのアーティストのコンセプトアルバムとしてちゃんと完成されているところはやっぱり見事だなと思います。 特にフォーキーな楽曲の、内面に語りかけてくるその魅力は、数あるプログレバンドの中でPink Floydに例えられていたという事も何だか納得。
おまけのライヴ音源の「ライト・ハウス」は、英語詞の豪放なハード・ロック曲。
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ロックン・ロール'70/モップス(1970)
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プレミアムフライデーね…。 マイナンバー制度が始まった今年の訳の分からん年末調整で、恐らく今頃、四苦八苦されている日本全国の総務や経理、或いは人事担当の方も多いと思いますが、そりゃあ役所は、本来なら自分達がすべき業務を民間に(対価無しで)丸投げしているのだから、いくらでも早く帰れるだろうけどさ…。
さて、またまたボヤキを出だしから書きましたが、2016年第49週の通勤BGMは、モップスのセカンドアルバム『ロックン・ロール'70』を聴きました。
デヴューアルバムは、ビクターからの発売でしたが、今回聴いたセカンドアルバム以降は、何で東芝EMI(当時は東芝音楽工業)からの発売なのかと疑問に思っていたら、そういう理由だったのですね。 本来モップスは、ブルーズやR&B、ロックンロール志向のバンドでしたが、ビクターからのアイドル路線の要求に対して反発し、デヴューアルバム1枚で解雇されてしまったとの事。 しかし、モップスがデヴューした1967年終わり頃は、GSもピークを迎えつつあった頃で、彼等自体遅れてきたグループと言えなくもないのですが、デヴューからして、事務所(ホリプロ)の意向とはいえ、サイケデリック・ミュージックを演奏していますし、彼等が本格的なロックを目指したのも、もはや時間の問題だったのではないでしょうかね。 結果的に、彼等はGSとニュー・ロックの端境期のバンドとして、名を残すのですが。
さて、今回聴いた『ロックン・ロール'70』ですが、冒頭「パーティシペイション(参加)」から、オリジナル曲にして全編英語歌詞。ハモンド・オルガンの音色が印象的で、本格的なロック志向を感じさせますね。 オリジナル曲は、他にも「京子」と「ボディー・アンド・ソウル」、「ゲット・ゴット・ゴトン」とあるのですが、いずれも全編英語歌詞。 「京子」と「ボディー・アンド・ソウル」は、シンプルなロックンロール曲ですが、「ゲット・ゴット・ゴトン」はブルージーな曲で、いずれの曲にしても、完全にニュー・ロックです。 アイドル的な要素は微塵も感じられません。
2曲目の「ロックン・ロール」もオリジナル曲で、こちらも全編英語歌詞なのですが、全部がオリジナルではなく、Little Richardの「グッド・ゴリー・モリー」と「のっぽのサリー」を一部でカヴァーしています。 Little Richardの曲は、他にも「ジェニ・ジェニ '70」をカヴァーしており(原曲は「'70」が付きませんが)、パワフルなロックンロールに憧れていたんでしょうね。
3曲目は「マイ・ベイブ」。Little Walterのヒット曲で、Willie Dixonの作。 こちらはブルーズのカヴァー。
4曲目の「朝日のあたる家」は、言わずもがなアメリカのトラディショナル・ソングのカヴァーですが、Bob DylanやThe Animalsのカヴァーが有名ですが、この曲をモップスがカヴァーしたのは、Eric Burdonを敬愛する鈴木ヒロミツの選曲でしょう。「クラブ・ア・ゴー・ゴー」も同様でしょうね。 一方6曲目の「アイム・ア・マン」は、Spencer Davis Groupのカヴァー。この曲は、Steve Winwoodを敬愛する星勝の選曲でしょう。 鈴木ヒロミツの猪突猛進的なヴォーカルもいいですが、僕は、どちらかというと星勝のハイトーン・ヴォーカルの方が好きですね。
The Beatlsの「エリナー・リグビー」もカヴァーし、もはや同時期のゴールデン・カップスと方向性は全く同じだねと思っていたら、何とミッキー吉野がキーボードで参加しているとの事。 どうりで冒頭の本格的なハモンド・オルガンに納得です。
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東京ワッショイ/遠藤賢司(1978)
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小池百合子新都知事が就任して以来、築地市場の豊洲移転問題に絡む諸問題が色々世間を騒がせており、2020年の東京オリンピック開催もまだ紆余曲折ありそうですが、そもそもそんなに日本というか東京でオリンピックやりたいかなぁというのが個人的な感想。 そりゃあニュースの話題とかで、今回のリオ・オリンピックの事もそれなりに知ってはいましたが、個人的にはそんなに興味がないというか…。
だからというわけではありませんが、2016年第40週の通勤BGMは、遠藤賢司の『東京ワッショイ』を聴きました(なんのこっちゃ!?)。
遠藤賢司のアルバムを聴くのは、実は今回が初めてで、聴いた後で自分ですらいきなりこのアルバムを最初に聴くのかという感じなのですが、それぐらい斬新過ぎるアルバムです。
エンケンというと、和製ディランならぬフォークシンガーというイメージですが、アルバム冒頭に収録された「東京退屈男」は、いきなりUFOの飛行音を思わせるシンセサイザーの音色から始まるナンバーで、そこに歌舞伎を思わせるセリフが流れ、伝統と最先端が見事に融合したインスト曲です。
続く「東京ワッショイ」は、アルバムタイトル曲で、「ワッショイ」という掛け声と共に展開されるブギー調の曲。粋ですね。
「天国への音楽」は、亡くなったFreeのPaul Kossoffに捧げたナンバー。エンケンがPaul Kossoffのファンだったのかは知らないのですが、前の「東京ワッショイ」の後に、腹の底から絞り出すかのような苦しげなこの曲を置くところもスゴイですね。
続く「哀愁の東京タワー」は、今度はテクノ調。もはや何が次に来るのか全く予想出来ない展開ですが、どことなく物悲しさもある曲です。
「続東京ワッショイ」は、その名の通り「東京ワッショイ」に続く曲ですが、この曲は、都会の喧騒、猥雑さを皮肉っているようにも思えます。
「不滅の男」は、黄色い女の子の声援をバックにしたポップ・ナンバー。こう来るとはまた意表を突かれた気がします。 ここまでが、A面「東京サイド」の収録曲です。
7曲目からはB面「宇宙サイド」に変わります。 宇宙サイドの冒頭を飾るナンバーは「ほんとだよ」。 この曲はデビュー曲のセルフカバーですが、シンセをバックにしていますが、アコギの弾き語りによるいかにもフォーク然とした曲ですね。 宇宙サイドと名付けたB面に、それとは全く対照的な曲を持ってくるのもこれまた意外です。でも、プログレッシヴなナンバーの中で、こういう内省的な曲を持って来たのも、ある意味宇宙的なのかもしれません。
「ほんとだよ」の後に来るのは「輪廻」というインスト曲。 ピアノだけの短い曲ですが、これまた物悲しい曲で、グッと来るんですよね。
「UFO」は、「東京ワッショイ」での江戸っ子のノリを、宇宙までぶっ飛ばしたようなロックンロール。
最後の「とどかぬ想い」は、アコギによるインスト・ナンバー。
ワッと盛り上がった後に、物静かな曲を置く。祭りの後というか、喧騒の果てにというか、その後に来るどこか空しいような 、悲しいような思い…。 このアルバムを作った意図が、どこにあるのか分からないのですが、僕には(それは批判でも賞賛でもなく)東京という都会の縮図を表現したのではという気がします。
アルバムには、佐久間正英、岡井大二、佐藤満の四人囃子のメンバーの他に、山内テツが参加し、特に佐久間正英は、収録曲の全てにおいて編曲に関わる協力ぶり。 そのせいもあってかプログレッシヴ、テクノ、ニューウェイブ的な作りになっていますが、本当にプログレッシヴなのはジャンルを超越したエンケン本人ですね。
横尾忠則のジャケットも素晴らしい。
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1971フォーク・ジャンボリーVOL.2-Disc.2
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2016年第26週の帰宅BGMは、『1971フォーク・ジャンボリーVOL.2』のDisc.2を聴きました。 フォーキーなDisc.1に比べ、Disc.2はロック色の強い収録内容となっております。
1曲目「アトミックボムズ・アウェイ (原爆落し)」、2曲目「ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー」は、ブルース・クリエイション。 本格的なブルーズ・ロックを展開していた、日本のハード・ロックの原点的な存在のバンドですが、やはり竹田和夫のギターは凄いの一言。 3曲目「空しい心」は、そのブルース・クリエイションをバックに従えたカルメン・マキの曲。当時のマキは、それまでのフォークからロックへと転向している途上の段階で、ハード・ロック・バンド、カルメン・マキ&オズへと繋がっていきます。
5曲目「のっぽのサリー」は、ミッキー・カーティスがLittle Richardのカヴァーを歌ったロックンロール調の曲。 6曲目「脱走列車」は、かまやつひろしとシティ・ライツによるカントリー・ロック調の曲。
欧米では、60年代末期にブルーズ・ロック、ハード・ロック、カントリー・ロックなど、ロックが細分化されてきますが、日本でもそれに遅れる事、ロックが多様化していったのが分かります。 ただ、まだロックはフォークよりも格下に見られていたのでしょうか、フォーク勢と比べると今一つお客さんの反応が薄いですね。
6曲目「飛行機ぶんどって」、9曲目は、三上寛の曲。 このアルバムで一番の異彩を放っている三上寛ですが、学生運動は下火になりつつあったとはいえ、まだまだその余波は色濃く残っていた時代に、「飛行機ぶんどって」のようなデリケートな曲をスパーンと歌い切ってしまうところに脱帽です。これはもうフォークというよりパンクですね。 そして9曲目は、もう歌というより怪談ですね(苦笑)。
加川良の7曲目「姫公園」、8曲目「求めます」も、フォークなのですが、カントリー調の演奏です。
最後は、フェスの運営に不満を持つ者達が、メイン・ステージを占拠し、フェスが中止になっていく場面が収録されています。
物も何もかも満たされた現代とは違う、まだ熱かった頃の生々しさが聴く事が出来る貴重な音源です。
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1971フォーク・ジャンボリーVOL.2-Disc.1
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7月に入り、フジロックも間近に迫ってきましたが、今年のフジロックには、安保関連法案への反対運動を展開し、一躍マスコミに注目された学生団体がフェスの一イベントに参加する事が発表されましたね。
僕は、フジロックにも行った事がありませんし、今後も行くか分かりませんが、音楽フェスに政治を持ち込むなという批判はどうなのかなとも思います。 元々、こういうポップス・ロック系の音楽フェスって、欧米ではニューポート・フォーク・フェスティバルやウッドストック、ワイト島にしても、公民権運動やベトナム反戦運動、ヒッピー文化など、政治・社会性と連動していたし、同時期に日本でも行われていた音楽フェスも、やはり学生運動などと連動していたから、そんな別に珍しい事でもないと思います。大体ロック・ミュージッ ク自体、カウンターカルチャーとしての性格を起点にしているわけなのだし。
1960年代後半〜70年代前半の話とは時代が違うだろうという意見もあるかもしれないけど、確かに欧米にしても、日本においても産業としての音楽が成熟して、ロックも政治や社会性からは大きく後退したけど、今なおアメリカなんかでは、大統領選なんか行われると、ミュージシャンが共和党、民主党陣営に分かれて応援していたりするし、むしろ日本のミュージシャンが保守にせよ革新 にせよ、あまりに政治に関わらなさ過ぎるんじゃないかなとも思います。
フジロックの歴代出演者をみていても、確かに商業ベースでも大物級が数多く出演しているけど、Rage Against the MachineやIggy Pop、Neil Youngなど、結構反骨精神に溢れたアーティストを招待していて、他の音楽興業会社が呼ぶ アーティストとは系統が違っています。 音楽だけを純粋に楽しみたいのなら、その学生団体が出るイベントは観なければいいだけの事だし。
と、そんなニュースを耳にして2016年第26週は、こんなアルバムを聴きたくなりました。 なぜ、VOL.2なのかというと、VOL.2にはガロやブルース・クリエイションの演奏が収録されていたので、VOL.2は買いましたが、VOL.1には触手が伸びず、ただ単にVOL.1は持ってないだけなのです。
このアルバムの内容を書く前に、まず全日本フォーク・ジャンボリーの事を説明しなければなりません。 特に第1回目は、ウッドストックよりも数日早く行われた事も注目点です。 今回聴いた1971年の回は、最後となった第3回目で、メインステージ、サブステージとステージが分かれる等、現在のフェスに通じるものもあり、またこの回からはニュー・ロック勢のアーティストも出演しており、ロック史的にも興味深い音源となっております。 今回聴いたアルバムのDisc.2には、最後の開催となった原因の、騒動の音源も収録されており、これまたその点でも面白い内容となっています。 そこで、今回は通勤BMGでDisc1を、帰宅BGMでDisc.2を聴いてみました。
まずは、Disc.1。
1曲目「梅雨時のブルース」と2曲目「ぼくの楽曲」は、それぞれ友部正人、あがた森魚と、フォーク・ジャンボリーの名に相応しいフォーク勢の曲を収録。 ちなみに収録曲の順番と、実際のメイン、サブステージでの演奏の順番は、全くリンクしていません。
3曲目は、はちみつぱい。いかにもフォーキー然とした前2曲と違い、コーラスワークに少し光るものがあります。
4、5曲目は、はしだのりひことクライマックス。やはりフォーク勢からの収録ですが、カントリー調の「綿つみの唄」を歌ったり、さらにルーツ度、洗練度がアップしています。 珠玉は「花嫁」。言わずと知れた大ヒット曲ですが、こうやって改めて聴くと、PPM辺りを意識していたのでしょうか、抜群のコーラスワークなど、単なるヒット曲とは一線を画しています。
6、7曲目はガロ。 6曲目「ティーチ・ユア・チルドレン」はCSN&Yのカヴァーで、「たんぽぽ」はオリジナル曲ですが、フォーク系でも日本のCSN&Yを標榜していたグループだけあって、やはりそれまでのフォーク勢とは一線を画していますね。
8、9曲目は、長谷川きよし。 8曲目「ヒズ・ガッタ・ア・ホール・ワールド」は、ジャジーなカヴァー・ナンバーで、「黒の舟唄」は日本の歌と、まるでジャンルの違う曲ですが、その歌いっぷりはなかなかのものです。
Disc.2は、帰宅BGMで。
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頭脳警察セカンド/頭脳警察(1972)
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丸5年が経ったんですね。 5年間という歳月は、数字だけ見たら長い時間が経過したんだなと思うけど、僕みたいな中年になると、5年なんてあっという間に過ぎてしまう。 色々と検証しなければいけない事はあると思うけど、この5年間に結局何が変わったんだろうと思います。 2016年第10週の通勤BGMは、頭脳警察のセカンドアルバム『頭脳警察セカンド』を聴きました。 日本ロック史における元祖パンク・バンド頭脳警察。 バンドといっても、1970年にパンタとトシの二人で結成され、1972年に発表されたデヴュー・アルバムは、その収録曲の過激な内容に、レコード会社が自主規制をかけて発売中止になりました(ジャケットも3億円事件の犯人のモンタージュ写真を使い、インパクトが強烈!)。 バンドは、アルバムが発禁処分になった事に加え、ライヴでの過激なパフォーマンスもあり、伝説的な存在でもあります。 今回聴いたセカンドは、前作でも収録された3曲に新曲を加えたアルバムなのですが、前作はライヴ音源だったので、スタジオ録音された本作がある意味デヴュー・アルバムという感じです。 しかしこのセカンドも、発売されはしたのですが、1ヶ月で発売禁止処分になっています。理由は歌詞に問題があったからなのですが、当時はまだ学生運動の余波があった時代だからという見方もあります。 収録内容を見ると、音楽的には「それでも私は」のようなフォークやロックであったり、「コミック雑誌なんか要らない」のようにロックンロールであり、シンプルそのものです。 となると、歌詞の内容に注目が集まるのですが、前作のようにあまりにも直接的な表現はないものの、「銃を取れ! 〜マラブンタ・バレー」や「軍靴の響き」といった政治的な歌詞の入ったメッセージ・ソングは収録されています。 発売当時の時代背景を考えると、前作や本作、そして頭脳警察というバンド自体を、この当時特有のもので、今に通じるものはないと考える向きがありますが、「さようなら世界夫人よ」や「それでも私は」といった曲のように、よくよく歌詞の内容を見ると、自分のあり方を自問自答するような曲も多く、政治的な事とは関係なくても、現在でも十分通用する重い内容のアルバムではないでしょうか。 僕は、この5年の間に社会が物凄く窮屈で不寛容になったなぁと感じているのですが、偽善的な公平性が叫ばれる今のような時代だからこそ、聴きたいアルバムです。
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葡萄畑/葡萄畑(1974)
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年明けの芸能界は、おめでたい結婚の話題から、人気アイドルグループの解散(か?)騒動まで、波乱の幕開けですね。 さて、2016年第2週の通勤BGMは葡萄畑のデヴューアルバム『葡萄畑』を聴きました。 今回初めて彼等のアルバムを聴きましたが、彼等はThe Bnadからの強い影響を評されるだけあって、これは完成度の高いスワンプ、カントリー・ロック・アルバムですね。個々のメンバーの演奏(オルガンとか)も、The Bnadのメンバーの影響があるのかなと思います。 カントリー・ロックにも、ポップなものから土臭さ・泥臭さの強いものまで色々ありますが、このバンドの楽曲は、冒頭の「ばら色の黄昏時」からマンドリンがフィーチャーされ、2曲目の「すこし慌て気味」ではスライドギターがフィーチャーされるなど、そのサウンドはアーシーな印象が強いですね。しかも、安定した演奏力の高さを強く感じます。 「朝から不機嫌」ではホーン・セクションが加わるところも、アメリカ南部テイストを醸し出していて良いですね。 ちなみに、このアルバムには、日本を代表するスティール・ギター奏者の駒沢裕城もレコーディングに参加していて、伸びやかな音色を聴かせてくれます。 とはいっても、そこは日本語ロックのバンドでして、はっぴいえんどからの影響も強いという評価もあるのですが、「昼間酒」、「朝から不機嫌」、「ぐるぐる」、「夕飯は御仕舞」等、確かにどの曲を聴いてもその影響は強く感じますね。 また、「そんな日の午後には」辺りを聴いていると、彼等よりも後にデヴュー・アルバムを発表するセンチメンタル・シティ・ロマンスの影もチラチラと見えるような気がするのですが、はっぴいえんどからセンチメンタル・シティ・ロマンスへと到る系譜の中間に位置するバンドといえるでしょうね。 「昼間酒」の冒頭部分では、何となく小坂忠の『ほうろう』を連想しましたが、彼等は小坂忠のバックを務めていた事もあるという事で、なるほど納得です。 個人的なお気に入り曲は「かねてから考えていたんだが」です。 このアーシーなサウンドもこのアルバム限りで、セカンド・アルバムは、10ccなどのブリティッシュ・ロックに近いサウンドになるらしいのですが、このファーストでも少しひねくれたセンスは垣間見えていますね。
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Mixed Up/コンディション・グリーン(1979)
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2015年第43週の帰宅BGMはコンディション・グリーンのセカンド・アルバム 『Mixed Up』を聴きました。 紫と並んで沖縄ロックを代表するバンドの一つとして、また日本のハード・ロックの草分け的存在として有名なコンディション・グリーン。 バンドの存在は結構有名なのですが、意外にもこのセカンド・アルバムが最後のアルバムなんですね。 紫がそのバンド名の通りDeep Purpleを敬愛していたのに対して、このコンディション・グリーンは、実にカラッとした王道のアメリカン・ハード・ロックを展開するバンドですね。 ステージでは、何かとその過激なパフォーマンスが話題だったようですが、音楽の方は別にキワモノではないですよ。 アルバムが発売されたのが70年代も終わりに差し掛かった1979年という事で、当時流行していたアメリカン・ロックからの影響も見て取れますね。 冒頭の曲「Confusion」、アルバムタイトル曲「Mixed Up」は、ハードなのですが、さほどへヴィな感じはなく、Outlawsのようなサザン・ロック調のハード・サウンドが聴けます。 「Typhoon」からは、ハードさに加えてへヴィさも加わっていくのですが、その「Typhoon」は、転調もする複雑な曲展開のプログレ・ハード風の楽曲。 「Weekend Fever」ではフュージョン的な感覚も。 ここまで全てオリジナル曲というのも驚きです。 楽曲が進むにつれて猥雑さも増していき、「Boney Moroney」と「Born to beWild」といったカヴァー曲や「Love of Money」では、何となくVan Halenを聴いているような気になります。 と、ここまでアメリカン・ロック調のサウンドを聴かせてきたこのアルバムですが、最後の最後、アコースティック・バラード「Memories of Yesterday」では、Uriah Heepばりの湿ったブリティッシュ・ロック・サウンドを聴かしてくれて、これまたいい意味で裏切られます。
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One Day/石間ヒデキ(1973)
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買ったはいいけど、収録内容が今一つピンと来なかったり、ある一つの(いまいちな)曲が強く印象に残ってしまって、その後聴き直す事もなく、結局1度聴いたきりのアルバムというのが、僕には何枚かあります。 今回聴いたアルバムも、そんなアルバムのうちの1枚です。 2015年第37週の通勤BGMは、石間ヒデキのソロアルバム『One Day』を聴きました。 1970年代初期、日本ロック黎明期に登場したフラワー・トラヴェリン・バンド(FTB)は、日本のロック史上伝説のバンドの一つと言っても過言ではないでしょう。 特にギタリスト石間ヒデキの、「ラーガ奏法」というギター奏法による東洋的なサウンドは、現在聴いても衝撃的で強烈なインパクトを放っています。 今回聴いたアルバムは、その石間ヒデキが、FTB解散後の1973年に発表したソロアルバムです。 収録曲は全7曲。 うち2曲はインストゥルメンタルで、残りの5曲が歌詞付きの曲ですが、最後の「Trash blues」だけが日本語歌詞で、あとは全曲英語歌詞の曲です。 なおヴォーカルは、インスト曲を除いた全ての曲で、石間ヒデキが担当しています。 僕は、このアルバムを初めて聴いた時、最後の「Trash blues」が強く印象に残ってしまって、またこの曲がいまいちで、結局1回聴いたきりで、以後ずっと聴いてこなかったんですよね。 今回、特に「Trash blues」以外の曲をもう一度ちゃんと聴くつもりで、久し振りに聴き直しましたが、やっぱり今一つピンと来なかったです。 FTBで、強烈なギターサウンドを聴かせてくれた人なので、このアルバムを手にした人は、恐らく僕に限らず、あれほどのインパクトを期待した人は多いと思いますが、このアルバムでの彼のギター演奏は、その片鱗はなんとなく窺えるものの、FTBとの落差も大きく、初めてアルバムを聴いた時は、ガッカリしてしまいました。 今回は、その事は既に承知済で聴きましたが、仮に百歩譲ってFTB的なサウンドが聴けなかったとしても、インスト曲でさえギタリスト石間ヒデキの存在があまり前面に出る場面が少ないので、不満に思ってしまうんですよね。 かといって、ヴォーカル曲に目を転じても、石間ヒデキのヴォーカルが弱いのは仕方ない事は分かっているのですが、どの曲もヴォーカル曲としてカッチリと完成された曲も少ないので、何か物足りなさを感じてしまいます。 ちなみに、FTBでは東洋的なサウンドを聴かせてくれましたが、このアルバムではブルージーな「We're just tryin' my way」やインスト曲「Unbalance」、カントリーテイストのある「Lady bird」など、どちらかというとアーシーなアメリカン・ロック的な曲が多いです。 個人的には、大野克夫のスライドギターが聴ける「Lady bird」が、アルバム中では一番好きな曲です。 アルバム収録には、FTB時代の仲間である和田ジョージ、篠原信彦が参加。他にハプニングス・フォーのチト河内、スパイダースの大野克夫、ガロの大野真澄が参加しています。
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グッバイ・フライド・エッグ/フライド・エッグ(1972)
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2015年第31週の帰宅BGMは、フライド・エッグのセカンドアルバム『グッバイ・フライド・エッグ』を聴きました。 ギタリスト成毛滋を中心に、角田ひろ(ドラム)、高中正義(ベース)の3人によるフライド・エッグのセカンドアルバムにして、その名の通りラストアルバムとなった作品です。 ファーストアルバムは昨年のやはりちょうど今頃、8月31日に紹介しましたが、その翌年には早く解散してしまいます(バンドに対する人気は上昇していたようですが、解散理由は資金難だったようです…)。 ラストアルバムとなった本作は、1〜4曲目に1972年9月に日比谷野音で行われた解散ライヴを収録し、5〜8曲目にスタジオ録音曲を収録しています。 アルバムタイトルといい、収録曲の構成といいCreamのラストアルバム『Goodbye Cream』を意識しているというか、その辺は日本ロック黎明期ゆえのご愛嬌なのですが…(苦笑)。 解散ライヴを収録した前半4曲は、前身バンドとなったストロベリー・パスの曲から2曲、ファーストアルバムから1曲、そしてB.B. Kingのカヴァーが1曲という構成。 この4曲は、怒涛のハード・ロックという感じで、成毛の時にはワウをかませたハードなギターに、角田の重いドタバタドラミング。そして、角田の吠えるヴォーカルと、先程「日本ロック黎明期」と書きましたが、本家ブリティッシュ・ハード・ロック、アメリカン・ハード・ロックに負けず劣らずの迫真ぶりに大興奮。 当時も大興奮だったでしょうが、今でもこれは興奮しますよ。 後半4曲は、スタジオ録音曲。 「Before You Descend」は、リードヴォーカルを角田ではなく、ゲストの柳ジョージが執っています。イントロのスライドギターを聴いていると、どことなくUriah Heepの曲を想像させますが、ファーストでもHeepの影響を受けた曲があったので、恐らくこの曲もHeepの影響があるのでしょう。 「Out To The Sea」は、もうイントロを聴いただけで、申し訳ないけど笑ってしまうのですが、もろKing Crimsonの「Epitaph」。 今回聴いたアルバムは、以前カルト&プログレコレクションという企画ものシリーズから発売されたCDを聴いているのですが、フライド・エッグというバンドはどちらかというと、ハード・ロック的であまりプログレ感が感じられないのですが、最後の曲「521 Seconds Schizophrenic Symphony」だけは、プログレ的な曲。 ただこの曲も、曲中盤までの泣きというか、抒情的な感じや、曲の最後の締め方とか、Heepの「Demons & Wizards」辺りに元ネタが透けてしまうのですが…。 興奮の前半と比較すると、後半は少々苦笑いの内容ですが、これが日本のロックの原点だと思えば興味深い内容なのです。
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